独り立ちの日、凄まじい緊張感が襲ってきたのはいうまでもありません。
周囲の人たちも今日がデビューであることを知っているので「無理せずゆっくり走れよ」「わからないことがあったら近くの運転手に聞いたらいいから」と、声をかけてくれます。しかしながら、私はすでにテンパっています・・・
デビューの日は、14時間勤務ですが遠くへ行くことなく営業所の近くの路線をずっと走っている内容です。
近所ばかりだったので少しホッとした部分もありました。が、とあるベテランさんから激励の言葉とともに「デビュー日がコレ!?(14時間勤務)いきなりかよ。上も考えてやればいいものを・・」と、何やら意味深なことを言われました。おそらく、いきなり過酷な勤務させなくても少しずつ慣らしていけば良いのでは・・という意見なのでしょう。
出発前の点呼で、注意事項をたくさん伝えられいよいよ出発です。心臓バクバクで始発地へ回送します。すぐに到着して扉を開けると、お客さんが乗ってくる・・当たり前です。
見習いで体験はしていたのですが、一人だとまた違った感覚を覚えます。
終点に着き、お客さんが降りると次の始発地へ回送する・・この繰り返しです。行先は間違えていないか?何度も運行表を確認してから発車します。心配性の私は何度も何度も確認します。1分前に確認したことを自覚しているのに、また運行表を見ています。まるで“確認したことの確認”みたい。
失敗もたくさんあります。交差点などカーブを曲がるときにタイヤを歩道の段差に擦ったり、反対に大回りし過ぎも。バス停に着ける順番※を間違えたりと色々あります。
お客さんに「○○に行きますか?」と聞かれると、まだ停留所を覚えていないので、あたふたしながら運行表を見て返事をします。「両替できないんですけど・・」両替機が紙幣を取り込まないことがあり、何度も繰り返すうちにお札が入ってくれてホッとすると、発車を促すベルが鳴りドキッとして慌ててドアを閉める・・などなど慣れるまでは苦労しそうです。
※駅などたくさんのバス停が縦列で並んでいる場所では、前から順にバスを止めないと後ろのバス停に止められないことがある。